【BIMと建築積算(その1)】

3dinteriorrendering001によるPixabayからの画像

✔BIMと建築積算

2021年を迎えた今も、残念ながらBIM(Building Information Modeling=ビルディング インフォメーション モデリング)と建築積算の連携は、思っていたより進化・発展はしていません。

もう10年以上前になりますが、当時世の中に出始めたBIMを目にして、

『これは建築生産プロセスを大きく変える。そのためには、建築積算システムとの連携・融合が不可欠だ。』

と考えました。

その時に、某システム会社の代表の方と面談し、お話ししたのですが、

「いや~、まだまだそこまではいかないです。」

とのことでした。

当時は単純にまだ技術・テクノロジーが無かった、追いついていなかったんですね。

それからしばらく、僕自身の仕事にこの“BIMと数量積算”がそこまで深く入り込んでこなかったので、動向を横睨みしながら過ごしてきた感じでした。

しかし、ここに来て僕自身の仕事の、そして世の中のニーズ(潜在的な課題解決欲求)の高まりを感じ、再び本腰入れて取り組んでいこうかという状況です。

そこで、改めて現況を整理してみようと思います。

僕は、もっとBIMと建築積算の連携は進むだろうと予想していました。

しかし、数量積算を行う上で、いまだに主流は紙の図面です。

設計図書でBIMの活用は増えてきてはいるようですが、建築積算に活用するというところでは、まだまだといったところかと。
BIMなどのツールによって、モデルの作成に伴うリスト入力や寸法値入力といった作業はどんどん自動化できる状況になっておりますが、現状の数量積算精度と同等の数量積算が瞬時にできるようになるには、まだまだ多くの課題をクリアしなければならないようです。
いまだ、発展途上というところかと思います。

✔BIM×建築積算のガイドライン(ルール・基準)が必要

BIMを活用した建築積算、つまりBIMによる建築設計データからダイレクトに数量積算を行うにはきちんとしたルールが確立する必要があると思います。
今の積算基準を大きく変えなくてはいけないことになるのではないでしょうか?

BIMで設計を進める時に、例えば「構造躯体の基礎とは?柱とは?梁とは?仕上の天井は?壁は?床は?間仕切りは?その設定の仕方は?」などその辺をきちんと整理してガイドライン的なものがあれば、それに則っとり統一知識として共有することが可能だと思います。

ただ、残念ながら、今はそうしたものはありません。
そういうものを作ろうとする動きもなかなか表に見えてきていないのが現状だと思います。

実際には、設計者・施工者・積算者がまとまって、知恵と議論を重ねていかないと実現していかないのだと思います。
まさに、建築業界一丸となって検討を進めることが大事だと。
どうしたら「ルール・基準が決められるのか?」というところから検討していかないと難しいのだと思います。

その上で、現状の積算基準よりももう少し緻密で精度高いルール・基準を決めていかないと、なかなかダイレクト連携、つまり、BIMと積算システムの融合は上手くいかない気がします。

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